触媒化学基礎講座

主催 触媒学会
共催 日本化学会近畿支部 近畿化学協会触媒・表面部会 有機合成化学協会関西支部 化学工学会関西支部

 本基礎講座は、企業などで触媒にかかわる業務に携わることになった方を対象に、触媒化学の基礎を学んでいただくことを目的に、昭和49年より定期的に企画・開催しております。
講義では、グリーンケミストリーやナノテクノロジーの分野で今後ますます重要となる触媒化学の基礎について解説し、また十分な質問時間をとり、内容を容易に理解できるように配慮しております。本講座は、企業等における新入社員教育の手助けともなり、好評を博しております。

日  時  平成18年10月18日(水)〜 20日(金)の3日間
会  場  大阪科学技術センター7階702号室
(〒550-0004大阪市西区靱本町1-8-4 電話06-6443-5324)
〈交通〉地下鉄四つ橋線「本町」駅25・28番出口を北へ約5分または同御堂筋線
「本町」駅2番出口を西北へ約10分(うつぼ公園北詰)

第1日(10月18日)

1.触媒概論−過去、現在、そして未来における触媒の役割−(9:50〜11:50) 
  大阪府立大学大学院工学研究科教授 安保 正一
 触媒は、100年前に窒素の固定によるアンモニア合成で重要な役割をなして以来、人類社会の発展において常に重要な役割を果たしてきた。100年の間、石炭から石油へ、そして今、ポスト石油産業への変化のなかで、環境に優しく、エネルギー負荷が少なく、有害な副生成物を出さない高選択性の化学反応を可能にする触媒が強く切望されている。この様に、触媒は、何時も人類の豊かで安全な生活を支える機能性材料として重要な役割を担っている。地球規模での環境汚染と潜在的なエネルギー危機のなか、環境に調和したGreen Chemistryを推進するための触媒、クリーンなエネルギーを生み出すための触媒と触媒技術が注目されている。講義では、触媒の基礎概念と作用機構を説明しながら過去と現在における役割を振り返り、近未来における触媒の素晴らしい展開と役割を考える。

2.遷移金属酸化物触媒−多様な触媒機能の宝庫−(12:50〜14:50) 
  広島大学大学院工学研究科助教授 犬丸 啓
 
金属原子と酸素原子の結合の性質に基づいた金属酸化物触媒の一般的な性質、および酸化・還元機構に基づいた遷移金属酸化物の触媒作用機構、活性酸素種の生成と酸化反応における役割などについて解説する。また、金属酸化物の結晶構造および表面構造と触媒活性や選択性の関連性について言及する。さらには、金属酸化物の注目される特性としての光触媒作用や光誘起超親水性、ナノスケールでの酸化物触媒の構造制御などに関しても解説する。

3.不均一系触媒の工業化−気相ベックマン転位プロセスの工業化を通して− (15:00〜17:00) 
  住友化学(株)基礎化学品研究所合成化学グループ主席研究員 杉田 啓介
 
不均一系触媒は、反応流体からの分離が容易であり、化学工業プロセスで広く利用されている。触媒を工業的に使用するには、活性・選択性が高いだけではなく、反応器に合った触媒粒子の設計や充分な触媒寿命も重要である。実用化された触媒プロセスを事例に挙げ、そこで使用されている工業触媒が、どのように開発されたかを概説する。

第2日(10月20日)

4.固体酸塩基触媒−固体表面の酸点・塩基点とは?−(9:50〜11:50) 
  京都大学大学院工学研究科助教授 宍戸 哲也
 ファインケミカル合成をはじめとして、固体酸固体塩基触媒の応用範囲が拡がってきている。特に、グリーンケミストリーの観点から酸塩基試薬から固体酸塩基触媒への転換がはかられる機会も増えている。本講においては、まず、固体酸塩基触媒の定義・酸塩基性の発現機構について解説し、さらに固体超強酸について触れる。その後確立された固体酸・塩基触媒プロセスについて講述を行う。

5.金属触媒−この金属はどの反応に使えるの?−(12:50〜14:50) 
  産業技術総合研究所関西センターユビキタスエネルギー研究部門主任研究員 松村 安行
 
金属触媒(不均一)の触媒作用の特徴を金属元素ごとに分類して論じると共に、典型的な反応について、その反応メカニズムを説明する。金属触媒では、活性、選択性を高めるための酸化物担体の選択も重要であり、担体の種類および担体効果についても概説する。また、金属触媒の性能を評価するのに役立つ簡便なキャラクタリゼーションの手法についても紹介したい。

6.触媒調製法−スケールアップで触媒の何が変わるのか−(15:00〜17:00) 
  ズードケミー触媒(株)事業開発部部長 松久 敏雄
 
触媒開発の基礎研究から工業化までの諸課題を触媒製造の立場からバランスよく考え、速やかに実用化するポイントを述べる。具体的には沈殿、成形を中心に主な触媒製造工程について紹介し、併せてスケールアップに伴って生ずる様々な製造条件の違いがどのように触媒物性や性能に影響を与えるかについて実例を交えて説明する。

第3日(10月21日)

7.錯体触媒の基礎−遷移金属錯体の構造と反応性および触媒反応への応用−(9:50〜11:50)
  大阪大学大学院工学研究科教授 神戸 宣明
 
遷移金属錯体の構造、配位子の性質、金属上での基本的な反応形式、有用な触媒反応、金属の種類と反応性、合成化学的応用など、均一系触媒反応の基礎を説明する。また、遷移金属錯体を使って高効率的・高選択的反応を実現するために、どのように工夫がなされ利用されているかを最近の例を挙げて紹介する。

8.触媒反応の選択性−反応の選択性を緻密に制御する分子触媒−(12:50〜14:50)
  奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科助教授 野村 琴広
 
ファインケミカルズの合成においては、目的化合物を優先的かつ効率よく合成可能とする高性能触媒の設計・選択が成功への大きな鍵となる。本講座では、反応の選択性(立体、位置、官能基など)を発現する触媒設計(反応機構)に関する基礎的な事項を中心に、反応の評価(分析・解析)方法に関する基礎的な内容も含めて概説する。

9.錯体触媒の工業化−工業的開発で生じる問題点と対策−(15:00〜17:00)
  (株)クラレ取締役新事業開発本部担当 吉村 典昭
 
触媒反応は産業上および環境問題解決の切り札として重要な基盤技術である。特に、錯体触媒は、反応の選択性、反応の特異性および触媒活性に優れた触媒である。本講座では、有用性の高い錯体触媒を工業的に開発してゆく際に起こる問題点とそれを解決する方法について実際に工業化した例でもって述べる。

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参加費 主・共催団体会員 35,000円 一般 45,000円(テキスト代含む)
締め切り 10月6日(金)
申し込み方法 下記申込書にご記入の上、参加費(現金書留又は銀行振込〈りそな銀行御堂筋支店・普通預金No.0186089触媒学会関西地区名義を利用〉)をご送金下さい。(定員60名)
申込先 〒550-0004 大阪市西区靭本町1-8-4(大阪科学技術センター6階)
触媒学会関西地区
TEL.06-6441-5531 FAX.06-6443-6685 E-mail.catal@kinka.or.jp

[ご注意]
1. 受講者には参加証をお送りします(10月初旬)ので、会期中は必ずご携帯下さい。
2. 講師他にやむを得ぬ事情がおきた場合プログラムに一部変更があるかも知れません。予め御諒承下さい。
3. 共催団体の会員である会社・工場からのお申込の場合、受講者が会員外でも会員並に取り扱い致します。
4. お断りする以外、参加費の払い戻しは致しません。

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触媒化学基礎講座 参加申込書(2006/10/18〜10/20)

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