会長挨拶
令和元年度 触媒学会会長
山下 弘巳
(Hiromi YAMASHITA)
(大阪大学)
年頭のご挨拶(2020.1.6)
新年、明けましておめでとうございます。
昨年は令和の年号の下で日本の新しい時代が始まりました。一昨年に創立60周年を祝った触媒学会にとって、令和の年号とともに新しい歴史を刻み出せたことは、とても喜ばしいです。令和においても触媒学会が、さらに実りある学会として社会貢献できることを期待します。本年は、4年に一度のオリンピックイヤーであり、世界的イベントが東京で開催されます。触媒分野における世界最大イベントの国際触媒学会(International Congress on Catalysis (ICC))も、4年に一度オリンピックイヤーに開催されます。今回は6月にサンディエゴ(米国)で第17回大会が開催されます。そして、われわれ触媒学会は、2024年開催予定の第18回大会を京都に招致するよう立候補しました。招致が成功すれば、触媒学会の国内外に向けての最大級の情報発信になると期待します。
新たな時代を歩み始めた令和元年度の触媒学会のキャッチフレーズは、“Dots Connecting”です。人と人の繋がりを広げ深めて行くことを目指しています。そのための第一歩として触媒や触媒学会を良く知って頂くための広報活動の充実を図っています。学会ホームページやパンフレットの改新や英語化など、学会内にとどまらず国内外の他分野の方々への情報発信の充実に力を入れています。
これまで通りに学会活動は順調に進められていますが、特に「広報活動の戦略化」を重視した具体的な活動を以下に紹介します。
・内外に向けてのわかりやすい情報発信を行い学会活動を広く社会に報告するため、さまざまな分野から選出された委員からなる広報委員会と広報担当理事を新たに設置します。
・学会ホームページの整備ならびに英文化・グローバル化を進め、今春には新しいホームページが公開されます。
・個人・団体会員の増強を目指し、会員特典をわかりやすく案内した入会パンフレットに更新します。
・触媒学会編の「触媒総合辞典」の企画・執筆・編集を開始し、2021年の出版を目指しています。中高大学生や一般の方々に触媒を紹介できるように、多くの図書館などに配置いただきます。
・触媒啓発を目指したキャタリシスパーク活動10周年を契機に啓発イベントを各地で行い好評を得ました。さらに、触媒啓発に利用できるように、触媒を紹介するための実演の動画を新たに制作します。
・30歳代の産官学の若手研究者が中心になり、触媒研究開発や触媒学会のあるべき将来活動について検討するWGを作成しました。フレッシュな企画を提案すべく意見交換を進めています。
・国際交流においては、2021年開催予定の日韓や日台触媒シンポジウムに加え、日中触媒シンポジウム開催が企画されアジア各国との交流の充実化を進めています。2022年開催のTOCATや国際環境触媒会議の準備も順調です。そして、国際触媒会議(ICC)の日本招致に向けては、招致WGや招致担当理事(新設)が主導し、招致用パンフレット、Webサイト、ロゴ・画像・動画を作成するなど万全の準備を進めています。今年6月開催のICCサンディエゴ大会中に決まる選考結果の吉報を期待しています。
2024年の京都へのICC招致が成功すれば、実に44年ぶりの日本での開催になります。開催のための人的経済的な負担は相当大きなものになりますが、再び日本に招致する意義は多くあります。最も大事な点は、大会開催のために産官学の研究者や世代を跨った触媒関連者らが一つの大きなイベントの成功に向けて共にOne Teamとなって汗を流し合うことです。ICCという世界最大級のイベントを、産官学の年配・中堅研究者から若手研究者や学生までが協力し成功させることで、人と人とが繋がる新たな強い“Dots Connecting”により、世界を意識した触媒学会の新時代の大きな前進の糧になると期待します。
最後に、令和が学会員の皆様や触媒に携わる全ての方々に実りある良い時代になることを祈念し、令和最初の新年の挨拶とさせて頂きます。
会長メッセージ(2019.5.17)
令和元年を平和に迎えられたことをお喜び申し上げます。
5月10日の令和元年度第1回理事会において触媒学会会長に選任されました。1年間、触媒学会の運営と発展のために、他の理事と協力して精一杯に取り組む所存です。会員の皆様のご協力をお願いいたします
。
触媒学会は昨年、創立60周年を祝いました。昭和の30年間、平成の30年間に、触媒を対象として、情報交換・交流の場を提供し、学術的技術的発展を促すことで多種多様な社会貢献をしてきました。新しい令和の元号の下で、触媒学会の活動が安定に継続しさらに発展するには、触媒科学についての学理の探求のみならず、異分野との融合や連携に加え、境界領域の開拓は不可欠です。人と人とのつながりを大切にし、ネットワークを築く「人と人をしっかりつなぐ触媒」の役割を強く意識した学会活動を目指したいと思います。
そのためには、触媒学会が展開している研究技術開発、一般向け啓発活動、若手研究者の育成、産官学・世代間の連携、各種研究会活動、国際交流活動などのより一層の活性化・特色化を図ると共に、内外に向けて今まで以上にわかりやすい情報発信を行う必要があります。特に、触媒学会の活動や貢献を外部の方に知っていただくために、学会活動を広く社会に報告する、まさに広報活動の戦略化を重視したいと思います。
令和元年度の触媒学会運営のキーワードは、「人と人のつながりの構築」そのための「広報活動の戦略化」とし、各委員会の委員や理事とともに以下の項目を特に重視し取り組みます。
・討論会開催と学会誌・出版物発行などの従来通りの学会活動はしっかりバトンリレーし、特に好評を得ている特別シンポジウム、企業研究者と学生の交流会などの企画の継続充実化を目指します。若手の登竜門でもある触媒討論会B講演の発表申し込み数増加の傾向を大切にします。
・学会ホームページの整備ならびに英文化を進め、広く国内外の人に分かりやすい情報発信を目指し、触媒学会の活動をアピールします。
・触媒誌のメール配信以外に、学会編集の出版物を一般の人が目にする機会を増すため、触媒学会編集本(事典など)を出版し、多くの図書館などに配置いただく広報活動も必要と考えます。
・小中高校生や一般の人への触媒の啓発を目指したキャタリシスパークの活動が10周年を迎えるのを契機に、啓発イベント活動の新たな進展を図ります。
・触媒研究開発の将来を担う中堅の産官学若手研究者が互いの名前と顔と活動が見えるような交流の場を企画し、将来活動に向けての意見交換を通して産官学連携を深めて頂きたいと思っています。
・国際交流においては、日韓・日台・日中(環境)などの 2 国間シンポジウムを核として躍進するアジア各国との交流の充実化、触媒研究新興国への協力活動、40 数年ぶりになる国際触媒会議(ICC)の日本誘致に向けての準備をしっかり取り組みたいと思います。
触媒学会の最大の魅力は、会員の皆様が、老若男女を問わず分野を超えた屈託ない率直な意見交換ができる伝統があることです。本会の活動についても会員の皆様の「率直な」ご意見をいただき、ともに魅力ある学会づくりを目指したいと思います。