会長挨拶
2015年度 触媒学会会長
永原 肇(Hajime NAGAHARA)
(旭化成(株))
年頭のご挨拶、学会の動き
皆さん、明けましておめでとうございます。
新しい年が皆さんにとってより実り多い年でありますよう、心よりお祈り申し上げます。
年末年始と関東近郊はまことに穏やかな日和が続きました。私の在所は静岡県にあり、元旦は暗いうちに散歩に出て、ほんのりと赤みを帯びた富士山を眺めながら初日の出を拝むことができました。
今朝(1月3日)の朝刊(Y新聞)の一面記事はさて何だろうかと見ると、ビル・ゲイツの「明日を語る」、中国ロケット軍発足、箱根駅伝往路青山学院大学優勝でした。ビル・ゲイツの語りも興味深いものでしたが、同面にコラムがあり、目を引かされました。コラムは中央労働災害防止協会発行の月刊誌に寄稿されたものからの引用とことわって、「さ」の字を「か」に替える、から始まります。簡潔に言えば「今さら」と思うのをやめて「今から」に、さらには「今なら」とするとずいぶんと印象が変わるというものです。どこかで聞いたような話ですが、年齢を重ねて「今さら」が多くなった身にはいささか心中を見透かされたような気がしました。そういえば「今でしょ!」というのもありましたね。
私が会長となってはや7ヶ月が経過しました。この間、理事会メンバーにより、いくつかの学会改革案を議論し、決定してまいりました。これらは先のメッセージでお伝えした「より魅力的で発信力のある学会」への端緒を意識したものです。具体的には会長任期、会長信任投票制、事務局強化施策、研究会・事業の発展的見直し、産を含めた魅力ある討論会運営、WEB更新、表彰制度改善、等々であり、これらの全貌は少しずつ明らかになっていきますが、これらの施策が真に端緒となるよう、学会員の皆さんのご理解とご協力をお願いする次第です。
一方、学会員の皆さんの関心度高揚と周知化には工夫も必要と思い、春の討論会では「理事会からの報告」という時間帯を設けさせていただくことにしました。当学会は2011年3月1日に一般社団法人に移行しましたが、その折、従前には春の討論会で開催されていた総会がなくなりました。現在は決算が確定する5月に社員総会が開催されています。しかしこれでは学会員の多くの方々に理事会の動向を直接的に説明する機会がありません。次回の春の討論会ではそのような場を再度設けようとしているわけです。社員総会ではないので何かを決定する場ではありませんが、予実算を除く活動の状況を会長・理事からまとめて皆さんにお伝えすることができると思います。ふるってご参加ください。
さてこれらの施策は学会内およびその周辺に関わる内政的なものが比較的多く、魅力的な学会を目指した土台の段階です。外に向かった発信力の増幅という点ではまだまだでしょう。国際的な活動はactivityの高い先生方に依拠しており、また日本を引っ張るような学会発信の産官学プロジェクトや政策提言のようなものまでは慣例としても意識としてもなかなか行きつけません。そうあるべきか否かは議論が必要ですが、そうありたいと思う人も多いのではないでしょうか。学会としてもう少し力をつけていく施策が必要と思うこの頃です。2016年は2018年開催のTOCAT及び触媒学会60周年(還暦)行事の準備が始まる年でもあります。準備の過程で様々に発信力を意識し、逡巡せずに新たな試みを行っていくのも機に応じた方法かもしれません。まさに「今から」、「今なら」でしょう。
世の中の変化は加速度を増しています。2016年が、学会及び皆さんがさらなる変化、さらなる試みに向けて楽しく行動できる年となるよう、理事会も私も努力したいと思います。ご協力をお願いします。
より魅力的で発信力のある学会を目指して
5月15日、平成27年度第1回理事会において会長を拝命しました。触媒学会員の皆様、及びこのページにアクセスいただいた方々、1年間ではありますが、よろしくお願い申し上げます。
触媒化学(科学)があらゆるモノづくりに貢献してきた事実は述べるまでもありません。環境浄化、センシング等々にも応用され、エネルギー問題解決のために欠くことができない技術領域であることも明白です。日本はこれらの領域で世の中を牽引できる技術的な底力を持っています。学会が底力の一端を担い、元気な日本の一助となっていくことを願ってきました。そのために微力ながら貢献できればと考えています。
今年度を、「産・官・学にとって、より幅の広い、より実質的で魅力があり、社会に対してより発信力のある学会に進化する端緒の年」と位置づけました。
やや冗長ですが、2010,2011,2014年と理事会に出席していて、この真摯で配慮とボランティア精神に富む学会は、方向性を共有し、決めて進む意思を持てば、もっと魅力的になれるはずだと感じ、言葉を選びました。また進化には各理事、学会員のマジョリティが行動を起こすための時間も必要だという認識で「端緒の年」としました。
方針を具体的な行動に落とし込み、一方で継続的な学会運営のあり方も検討すべく、理事会及び経営委員会、広報委員会、出版委員会等へ付加的に様々なお願いをしました。また触媒は周囲の技術と連携しなければ産業としては充分に働けない側面もあることから、討論会委員会にはより幅の広い視点での討論会運営の検討もお願いしています。理事会、各委員会の活動が端緒の年を担っています。委員会活動に変化の予兆が窺えましたら、会員諸氏におかれましては是非ご協力いただきたく、よろしくお願いします。
また、実質的な研究開発のあり方の一例として、触媒誌第57巻3号時評に私見の一部を述べさせていただきました。ご興味のある方はご一読いただけると幸甚です。
さて学会員ではなくこのページにアクセスしてくれた方々に申し上げます。 将来の可能性に満ちたこの学会を、私たちと共により魅力的なものに進化させるべく、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。